頭痛コラム
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頭痛コラム
島根県出雲市の須佐クリニック副院長の 須佐葉子です。
脳神経内科・頭痛外来を担当しています。
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一言で「頭痛」といっても、その原因はさまざま。
片頭痛や緊張型頭痛といった、頭痛外来おなじみの頭痛はもちろんのこと、
くも膜下出血でも頭痛は起こるし、風邪でだって起こります。
それら全部ひっくるめて、一冊にまとめた本があります。
「国際頭痛分類」といいます。
この本には、頭痛を引き起こす疾患が網羅されています。
その数、なんと300以上。
世界中の頭痛専門医が必ず持つ、頭痛診療のバイブルです。
国際頭痛学会という、頭痛を専門に研究する学会が英語で作成していたものを、日本頭痛学会(私も所属し評議員をしています)が2004年に初めて正式に日本語版の翻訳を行いました。
もう20年前のことです。これが我が国の頭痛診療を大きく進展させました。
(実は私が大学院生の頃、この翻訳の下働きをさせていただきました。それは今でもひそかな誇りです。)
現在はさらにバージョンアップして、2018年に第3版の日本語版が作成されています。
とにかく、あらゆる頭痛が載っているのです。
例えば、かき氷を食べて頭がキーンとなるのは「寒冷刺激による頭痛」
二日酔いの頭痛は、「遅延型アルコール誘発頭痛」
きついゴーグルをつけた時の頭痛は「頭蓋外からの圧迫による頭痛」
…といった具合です。
「そんな頭痛、治療いらないでしょ!」
上記の3つは、その通り。
何もしなくても良くなりますよね。
頭が痛いからといって、何でもかんでも心配する必要はないわけです。
きちんと分類をして、頭痛の正体をはっきりさせることによって、不必要な治療をする必要がなくなります。
同時に、本当に治療をしなければならない頭痛が、明確になるのです。
そう、全ての頭痛治療はここから始まる、大切な分類。
それが、「国際頭痛分類」です。
頭痛専門医は、この分類に基づいて、頭痛を正しく診断し、適切な治療につなげていきます。
興味がある方は、外来で「どんな本?」とお尋ねください。
私の診察机の横に、いつでも置いてありますよ。